(小説ブログ)魔王より面倒!SEになった賢者さんvol.028_待機
神宮寺さん(ミカエル)の、あまりに初々しい挨拶に真木さんも思わず笑顔になる。
「神宮寺さん、真木です。まだ分からないことだらけかもしれないけど、一緒に頑張ろうね。これからよろしくお願いします。」
真木さんの優しい一言で、神宮寺さん(ミカエル)も安堵の笑みを浮かべる。
とても、元の世界ケプラで顕現したティアマト(真木さん)に、聖槍(ホーリーランス)をブチ込んだミカエルとは思えない変貌ぶりだ・・・
オレは2人のやり取りを苦笑いしながら見届け、話を切り出す。
「真木さん、資料作成の方は順調かな?もしよかったら、神宮寺さんがオレたちのチームに加わってくれたことを記念して、歓迎会がてら飲みに行かない?」
「あ、歓迎会いいですね!行きましょう!資料は明日中にはドラフト完成できそうです!」
真木さんが笑顔で答える。
「よかった!じゃあ、オレと神宮寺さんは1階のロビーで待ってるから、仕事のキリがいいところで降りてきてね。」
真木さんは敬礼ポーズで「了解です!」と言い、残りの仕事に取り掛かった。
「さて、じゃあオレたちは1階ロビーで真木さんを待ってよう。」
「は、は、は・・・はい!」
神宮寺さん(ミカエル)はまだ緊張しているようだ。えっと、こんなキャラだったけ・・・(汗)
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一階のロビーは既にオレと神宮寺さん(ミカエル)以外に人はいない。今日は定時退社日というものらしく、みな早々と帰宅していった。
ロビーのソファに腰かけると神宮寺さん(ミカエル)の緊張もほぐれたみたいで、オレに話しかけてきた。
「やー、緊張したぁー!芸満(ゲイマン)先輩、よくあれだけ近くで邪神の魔力を感じておきながら平気でいられるわね・・・」
いや、オレは何も感じてないからね。
たぶん、この世界で真木さんから邪神の力を感じているのは神宮寺さん(ミカエル)だけであろう。
「まぁ、オレもケプラの人間ではあるけど、神宮寺さんと違って、ただの平凡な賢者だからね。」
オレは「あくまで平凡な賢者」だということを強調する。
「んー、そういうもんなのかなぁ。ただ、真木先輩と話している限り、邪神の意識が彼女を侵食していることはなさそうね。」
「それなら良かった。そういえば、神宮寺さんもこちらの世界・・・アースに来たってことは誰かに殺されたってこと?」
「あはは、あたしは芸満(ゲイマン)先輩と違って、霊的な生き物だから神の力を借りて割と自由に行き来できるんだよぉ。それなりにエネルギーは使うんだけどねぇ。」
「そうなのか・・・それはうらやましい限りだ。そういえば、明日から一緒に仕事するわけだけど、やっていけそうかい?」
オレは上から目線で天使ミカエルに尋ねている。冷静に考えればなんとも畏れ多いことだ。
「んー、まぁ、芸満(ゲイマン)先輩でも何とかなってるんだし、大丈夫っしょ。」
ですよねー、上から目線で話したら、さらに上から被せられたぜ。
神宮寺さん(ミカエル)は続けざまに話を続ける。
「でも、真木先輩自身は、すごく優しそうで良い人そうだねぇ~。仕事のこと色々と教わっちゃおうかなぁ~♪」
完全に新人のような話っぷりである。
まぁ、天使と邪神という相対する存在ではあるが、仲良くやってもらえるならオレも一安心というものだ。
「芸満(ゲイマン)先輩、神宮寺さん、お待たせしましたっ!」
おっ、噂をすれば真木さんが仕事を片付けてやってきた。
「神宮寺さんは、何か食べたいのある?」
真木さんが神宮寺さんに行きたい店を尋ねる。神宮寺さんは、また緊張しだしたようだ。
「え、えっと、あたしは何でも大丈夫です・・・」
「んー、じゃあ先輩と前に行った焼き鳥屋さんに行きましょうか?」
「おっ、いいね!あそこは飯も酒も旨いし、行こう行こう!」
オレも賛同し、三人で焼き鳥屋に向かった。
vol29.へ続く