(小説ブログ)魔王より面倒!SEになった賢者さんvol.036_天界

(小説ブログ)魔王より面倒!SEになった賢者さんvol.036_天界

目を覚ますと、そこは教会ではなかった。

どこまでも続く青い空。

真っ白な石柱に支えられたゴシック建築のような建物。

色鮮やかな花や木々がそよめき、鳥や川の音が穏やかに聞こえてくる・・・

あぁ・・・天国が本当に存在するなら、きっとこんなところなんだろうなぁ。

オレはぼんやりとした頭の中でそんなことを思いながら、ふと顔を横に向けた。

ふぁ!?

眼前には神宮寺さん・・・もとい、天使ミカエルの寝顔が!

ミカエルの寝息がオレの顔に微かにかかる。あぁ・・・いいニオイ・・・

オレが悦に浸っていると、ミカエルが目を覚ました。

「ふぁぁぁ、よく寝たぁぁ。ん?いつまでアタシの横に寝てるんだよぉ!」

ズドーン!!!!!!

「ひゃっ!や、やっちゃった・・・!芸満(ゲイマン)先輩大丈夫・・・?」

10mくらい吹き飛ばさたオレは辛うじて生きていた・・・吹き飛ばされた先がフワフワの草むらで助かったぜ。

それにしても・・・いててて・・・さすがは天使ミカエルの一撃・・・

生き返った矢先に即死するところだった。

ミカエルはオレが生きていることを確認し、ホッとしたようだ。

オレは頭をフラフラ立ち上がりがてら、魔法でHPを回復させる。これ賢者の特権ね。

「神宮寺さん・・・いや、こちらの世界ではミカエルさんか。ここは・・・どこなんだ?」

気を取り直してオレはミカエルに質問する。

「えと、天国だよ。」

ふぁ!?

ててててててててて・・・天国ぅっ!?

ほ、本当に存在していたとは・・・そして、生きている時にこの目で拝める日が来るとは・・・

「まぁ、アナタたち人間が想像している天国は「死後の世界」という意味なんだろうけど、ここは実在する場所だよ。正確には人間が住んでいる地上世界に対して、ここは天界と呼ばれているけどね。」

「な、なるほど。天界というところなんだね。ところで、大賢者になるためにミッションをこなす必要があるんだけど、ここから地上世界にはどうやって戻ればいいんだ?」

そう、オレがこちらの世界に戻ってきた理由は「大賢者になる」こと。

大賢者になるためには、「大賢者へのステップノート」に書かれている下記の条件を満たすことが必須だ。

大賢者になる条件達成具合
賢者レベル55以上40/55
魔王もしくは同等のモンスター討伐の実績0
大賢者転職クエストのクリア9/10

あ、あれ・・・前見たときより結構進んでいる。ミカエルも「大賢者へのステップノート」の進捗状況を見て頷く。

「なかなかイイ感じじゃない?芸満(ゲイマン)先輩。魔王四天王を討伐したり、アースの世界で活躍したことで自然とミッションクリアしているみたいだねぇ♪」

「それと、地上世界に戻る方法はアタシが案内するから大丈夫だよ♪」

「な、なるほど。どのミッションがオレの過去の行動と紐づいているのか分からんが、とにかくオレがやってきたことはムダではなかったようだね。」

俄然、大賢者への道筋が見えてきたところで、残りの条件はレベルを55まで上げる。魔王級のモンスターを討伐する。そして最後のクエストは・・・

神の存在をその身に感ずるべし

「大賢者へのステップノート」より

「・・・・・?」

なんだ、この曖昧なクエストは?

オレがクエストの一文を見ながらフリーズしていると、横からミカエルがそれを覗いてきた。

「ほほう、いいクエストだねぇ♪大賢者になるためには、神の存在を身近に感じなきゃいけないんだねぇ♪」

ミカエルの言っている意味がサッパリ分からないが、オレはこの後、否が応でも理解することになる。

「じゃ、神様に会いにいこう♪」

そう言ってミカエルは丘の上にそびえる神殿を指さした。

vol37.へ続く