(小説ブログ)魔王より面倒!SEになった賢者さんvol.013_討伐
夢ではなかったんだ・・・
オレは昨日、システムエンジニアとして別世界に転生したことを夢だと思っていたが、ステップノートの履歴を見る限り、どう考えても民10,000人を救ったのは、システム障害対応の結果だ。
だとすると、オレは元の世界に戻ってきてしまった。
真木さんは今頃どうしている!?
鈴木グローバルテクノロジーシステム社に追加機能の開発費を提示しに行くはずだったのに、オレがいなくなって困惑していないだろうか・・・?
オレは頭が混乱していた。だが、今はどうすることもできない。
元の世界に戻ってきた以上、オレがやるべきことはゾンビ討伐だ。
お茶をグっと飲み干し、オレは悶々としながら眠りについた。
・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・・
(目を開けると、またシステムエンジニアに転生してないだろうな・・・)
ゆっくり目を開けると、そこは見慣れた宿の一室だった。
ふぅ、どうやら元の世界に留まっているようだ。
念のため、ステップノートを見るも、昨日と記載内容に変わりはない。
悩むるる民 10,000人を救うべし。
フリオ13年 5月24日 Complete
大賢者へのステップノート(クエスト実施履歴の章)
とにかく、今あれこれ考えても仕方ない。勇者たちとゾンビ討伐に向かうか・・・
オレは勇者たちと合流し、町から1時間ほどの場所にある沼でゾンビの集団と対峙する。
「うぉぉりゃーーーー!!!!」
戦士の一撃でゾンビが両断っ!
「ファイアーボール!!」
魔法使いが放つ火球がゾンビに命中し火だるまっ!
そして勇者が必殺技を放つ!
「
まとめて3匹ほどのゾンビが横一文字に切り裂かれ、沼地に沈んでいった。
なかなか、イイ感じだ。オレもゾンビの攻撃で傷ついた仲間をヒールで援護する。
それにしても、ゾンビの数が多い。沼地の向こうに生い茂る背の高い草むらから次々とゾンビが湧いてくる。
「あぶないっ!!ウインドっ!!」
オレは魔法使いの背後を狙うゾンビに向かって、風魔法を放つ。
ドンっ!という音と共に、ゾンビが吹き飛ばされる。
「賢者さん、ありがとう!助かったわ!」
それから2時間ほど、オレたちはゾンビを倒しに倒しまくり、ついにゾンビの群れを殲滅することができた。
「はぁはぁ・・・100匹は倒したんじゃないか?冒険はじめて一番頑張ったかもw」
いつもは大声の勇者も、さすがに疲れたようだ。
というか、まともにレベル上げに励んだの初めてっぽい発言だな・・・
まぁ、オレもさすがに疲れた。MPもほぼ空だ。
しかし、この戦闘のおかげでパーティーのレベルも上がったようだ。オレはそこそこレベルあるんで変わってないけど。
メンバー | レベル |
勇者(22歳) | 10→12 |
戦士(20歳) | 6→10 |
魔法使い(18歳) | 5→9 |
賢者(35歳)※オレ | 32→32 |
この調子でいけば、一週間後くらいには皆レベル20までいけるかもしれないな。
そう思い、ふとゾンビたちが湧いて出てきた沼地向こうの草むらに目をやると、赤いローブに身を包んだ老婆が姿を現した。
「なんだ、あの婆さん・・・?」
戦士が警戒し盾を構える。
「なんだか、ただならぬ気配を感じるけど・・・」
魔法使いも心配そうに、勇者の方を見る。
「よし、僕が様子を見てこよう。」
勇者が老婆の方に近づいていく。
オレたちも勇者から数歩離れ、後を追う。
勇者が老婆に話しかけた瞬間、老婆の目が煌々と赤く光った。
「危ないっ!!!!」
オレがとっさに口を開き、勇者がオレの方を振り返るも、勇者は白目を剥き、そのまま沼地に倒れた。
「まずいっ、即死系の呪文だ・・・!!!!」
老婆は倒れた勇者を踏みつけ前進してくる。
「よくもワシのゾンビを殲滅させおったな・・・町を占領する計画が台無しじゃ!!!!」
老婆は怒りをあらわにして、オレたちに向けて煌々とした赤い目から光を放つ。
これは・・・やば・・・ぃ・・・・
どうやら老婆に即死系の魔法を放たれてしまったようだ。
薄れ行く意識の中、魔法使いや戦士も沼地に倒れていくのが見えた。
あぁ・・・なんか強敵に遭遇してしまったっぽいな・・・
また、教会送りか・・・
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目が覚めると、オレはシステムエンジニア芸満(ゲイマン)の部屋にいた。
vol14.へ続く