フルサイズ一眼レフをレンズ込みで20万円以下で購入する時のオススメパターン2016年度版
初めてフルサイズのデジタル一眼レフが発売された当初、その価格はとても一般人がおいそれと購入できる価格ではありませんでした。
私が本格的に一眼レフにハマった2008年当初も、フルサイズ一眼レフは余裕の20万超え。「いつか買いたい」という気すらおきない代物でしたね。
ところが、ここ数年でNikon D610やキヤノンEOS 6Dなどのリーズナブルなフルサイズ一眼レフカメラが出てくることで、フルサイズカメラの敷居がグッと下がってきました。
しかし、それでもフルサイズは「どんなに頑張っても20万円超え」というイメージが付き物。
そこで、今回はフルサイズカメラをレンズも込みで20万円を切る価格で私がオススメする組み合わせを考えてみたので、この記事で紹介していきます。「今年こそはフルサイズ一眼レフを・・・」と目論んでいる方は、ぜひご参考ください!
1.フルサイズ一眼レフとは
2.フルサイズ一眼レフのメリットとデメリット
3.20万円以下で買えるオススメなフルサイズ一眼レフとレンズ
4.おわりに
1.フルサイズ一眼レフとは
まずは、そもそも「フルサイズ」とはなんぞやというところから。
一言で書いてしまうと、カメラに使っている撮影素子(イメージセンサー)のサイズ規格のことです。写真を撮る時にレンズから入る光を受光して、写真として映し出すために使うとても重要な部位ですね。「カメラの心臓」と言ってしまってもよいかもしれません。
撮影素子として広く普及しているサイズとして、APS-Cが挙げられます。ハイエンドコンデジや、一眼レフによく使われるサイズだったりします。
「じゃあ、フルサイズとAPS-Cサイズの撮影素子は何が違うの?」という疑問をお持ちの方は、以下の図をご覧ください。
そう、見てのとおり、「フルサイズとAPS-Cサイズの違いは撮影素子の大きさ」です。
撮影素子が大きいフルサイズのメリット・デメリットは後に回すとして、撮影素子の大きさの違いは写真の画角の違いに影響します。
下記は同じレンズの同じ焦点距離で撮影した写真の比較図。フルサイズで撮った写真の方が広範囲に撮影されることが見てとれますね。
以上のことから、同じレンズを持っていても広角側を生かしたい場合はフルサイズ、望遠側を生かしたい場合はAPS-Cという使い分けができたりします。
例えばキヤノンの場合、「APS-Cの画角=フルサイズの画角×1.6」なので、フルサイズで焦点距離30mmの画角で撮影できるレンズは、APS-Cでは48mmの画角になります。
2.フルサイズ一眼レフのメリットとデメリット
さて、フルサイズ一眼レフの特徴を紹介しましたが、ここからはそのメリットとデメリットについて整理していきます。
フルサイズ一眼レフのメリット
まずはメリットから。ここでは一般論を書きますが、フルサイズ一眼レフのメリットは以下の3点になります。
- ボケの大きな写真が撮れる
- 暗所に強い
- レンズの焦点距離をそのまま使える
もしご自身が求めるカメラや写真に上記のいずれかが当てはまるなら、フルサイズを検討する価値があると言えます。
ちなみに私の場合は、2の「暗所に強い」がフルサイズカメラを購入した一番の理由です。
もちろん、技術の進歩でAPS-Cカメラも暗所に強いカメラが続々と出てきています。しかし、撮影素子が大きいという物理的な理由から、フルサイズカメラの方が暗所に強いという安心感がありますね。(同程度の画素数という前提ですが)
フルサイズ一眼レフのデメリット
次に、デメリットを3点。
- APS-C専用レンズが使えない
- デカい(重い)
- 高い
1点目のAPS-C専用レンズが使えないのは、どうしようもないですね・・・フルサイズの宿命です。
APS-Cカメラがフルサイズ対応レンズで撮影することはできますが、逆は出来ないというわけです。フルサイズカメラにAPS-C専用レンズを装着して写真を撮ると、写真の四隅がケラれてしまいます。
2点目と3点目は、フルサイズのデメリットとして鉄板ですが、実はこれらについては改善されつつあります。
例えば、私が持っているフルサイズカメラ Canon EOS 6Dは約680g。APS-CサイズのEOS Kiss X7iが約580gなので、100g程度の差しかありません。また、価格も20万円を切るフルサイズカメラが登場してきており、かなり身近な存在となってきています。
レンズについても、フルサイズ対応レンズは高額で重いという印象がありますが、実はちゃんと探せばリーズナブルで軽いレンズはあります。
・・・ということで、今回のブログタイトルの本題まで随分と書いてしまいましたが、いよいよ次からレンズ込みで20万円以内で購入できるフルサイズ一眼レフを紹介していきます!!
3.20万円以下で買えるオススメなフルサイズ一眼レフとレンズ
さて、ここからは本題に入っていきましょう。今回の紹介では、いくつかのパターンに分けて私がオススメするボディとレンズの組み合わせを書いていきたいと思います。
夜景ポートレイトや暗所での撮影にオススメのフルサイズ一眼とレンズ
まさに、私がAPS-Cからフルサイズに移行した理由がこのパターンです。そして、このパターンで私がオススメするカメラはこれっきゃありません!
そう、EOS 6Dです!今でこそフルサイズのミラーレス一眼が出ていますが、発売当時は世界最軽量で話題を呼んだカメラです。
主なスペックは以下のとおり。
項目 | EOS 6D |
---|---|
有効画素数 | 2020万画素 |
ISO感度 | 100〜25600 (拡張L ISO 50、拡張H1 ISO 51200、拡張H2 ISO 102400) |
AF測距点 | 11点 |
連写速度 | 4.5コマ/秒 |
シャッター速度 | 1/4000秒 |
ファインダー視野率 | 97% |
質量 | 680g |
フルサイズカメラにしては、かなり控えめなスペックですが暗所に強いと言われる注目点が3つあります。
- 控えめな画素数
- 常用ISO感度が25600
- 中央測距点が-3EV
今では2400万画素あたりが主流になりつつある中で、6Dは2000万画素程度に抑えています。これによって、撮影素子が受光できる面積が大きくなるので、その分、暗所耐性が強くなるわけですね。
さらに常用ISO感度が25600を謳っていることもあり、暗い場所でも臆することなくISO感度を上げて撮影できます。さすがにISO 12800を超えるとノイズが目立ってきますが、ISO 6400までは問題ないというのが私の感想です。
このあたりは、こちらの記事も参考になります。
参考 :カメラ使用所感:EOS 6D
そして、暗所でも正確にピントを当てるAFセンサーも備えています。それが、-3EVの中央測距点です。これを書き出すとキリがないので、活用テクニックも含めてこちらをご参考くださいませ。
参考 :2年間使用しているCanon EOS 6Dを中央測距点+親指AF+AIサーボ+連写モードで使い続けている理由
参考 :私がキヤノンのフルサイズ一眼レフEOS 6Dをおススメする3つのパターン
さて、このボディが15万円程度(2016年5月時点)なので、レンズには5万円を投資できるというわけですね。
私がオススメする5万円以下で購入できるレンズは、こちら。
- TAMRON SP AF28-75mm F2.8(A09)
- Canon EF50mm F1.8 STM
- TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A005)
いずれもハイコストパフォーマンスで評価の高いレンズですね。
TAMRON SP AF28-75mm F2.8は、F2.8通しのレンズでありながら30,000円前後で買えてしまう破格とも言えるレンズ。もちろん手ぶれ補正や防滴防塵ではありませんが、ソフトな描写はポートレイト撮影にはもってこいのレンズだと言えます。
普段使いとして、私も重宝しているレンズです。
参考 :レンズ使用所感:TAMRON SP AF28-75mm F2.8
次にCanon EF50mm F1.8 STM。Canonの新巻き餌レンズとして評判の高いレンズですね。このレンズは最短撮影距離の短さと、STM搭載によるスムーズなAFが良いです。
また、F1.8という明るさは、暗所での撮影にも強い味方と言えます。
参考 :私がキヤノンEF50mm F1.8 STMを即決めした3つの理由
最後に、TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD。5万円以下で買える貴重なフルサイズ対応望遠レンズです。さすがに、F4通しとはいきませんが、タムロン社の手ぶれ補正機能が遠い被写体の撮影をサポートしてくれます。
余談ですが、1, 2万円オーバーになってしまいますが、以下のレンズも一応オススメしておきます。(笑)
- SIGMA 12-24mm F4.5-5.6IIDG HSM
- Canon EF35mm F2 IS USM
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6IIDG HSMは、フルサイズ対応の超広角レンズ。風景撮りや星空撮影には一本持っておきたい広角レンズですが、約6万円(2016/5/4時点)で購入できるのはこのレンズだけと言えます。
参考 :EF11-24mm F4L USMが高すぎて買えない?じゃあSIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSMなんていかが?
Canon EF35mm F2 IS USMも、6万円前後なので予算オーバしてしまいますが、手ぶれ補正+F2始まりのコスパの高い単焦点レンズです。私の場合、35mmが一番使い勝手の良い画角なので、このレンズが一番使用頻度が高かったりします。
参考 :EF35mm F2 IS USM購入後、このレンズが私の6D標準装着レンズとなりました
動きものメイン!高速連写でバシバシ撮りたい時のフルサイズ一眼とレンズ
動きものがメインとなると、AF測距点の数が多くて連写速度の速いカメラが欲しいところ。そんな要件を満たすフルサイズカメラはこちらの2つ。
Canon EOS 6Dと価格帯は大きく変わりませんが、コンセプトが全然異なるカメラですね。まずは、スペックを見てみましょう。
項目 | D610 | D750 |
---|---|---|
有効画素数 | 2426万画素 | 2432万画素 |
ISO感度 | 100〜6400 (拡張L ISO 50、拡張H1 ISO 12800、拡張H2 ISO 25600) |
100〜12800 (拡張L ISO 50、拡張H1 ISO 25600、拡張H2 ISO 51200) |
AF測距点 | 39点 | 51点 |
連写速度 | 6コマ/秒 | 6.5コマ/秒 |
シャッター速度 | 1/4000秒 | 1/4000秒 |
ファインダー視野率 | 100% | 100% |
質量 | 760g | 750g |
D610、D750共に注目する点は、以下の3点。
- 高画素
- AF測距点の多さ
- 連写速度
EOS 6Dとの比較になりますが、D610とD750は共に2400万画素オーバーとなり高画素だと言えます。その分、撮影素子の受光面積が小さくなるので暗所耐性で言うと6Dより低くなることが予想できます。
ただ、その分AF測距点を多くし、連写速度を重視することで日中の動き物には抜群の性能を発揮してくれそうですね。
モーターショーや野鳥、スポーツなどをメインに撮影したい場合はD610とD750を選択した方が撮影が楽チンということになります。
ちなみに、D610とD750を比べると、やはり後発のD750の方が性能面で優れています。ただし、お値段もそれなりの価格になるので、レンズを含めて20万円以内で考える場合は、レンズの選択肢が少なくなってしまうのが悩ましいところです。
さて、このNikonカメラに対して私がオススメするレンズは、こちら。
- TAMRON SP AF28-75mm F2.8(A09)
- Nikon Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
- TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(A005)
はいwさっきとほぼ同じですね(笑)Tamronレンズについては、Nikonマウントも発売されているので、そのままオススメしたいレンズです。
そして、Nikon Ai AF Nikkor 50mm F1.4Dについてはキヤノンユーザの私も欲しいレンズ!写りはもちろん、その外観がカッコ良いです。こういうレンズをキヤノンからも出してほしい・・・
とにかく小さくて軽いフルサイズ一眼とレンズ
最後は、とにかく小さくて軽いフルサイズ一眼とレンズ。「フルサイズ=でかくて重たい」という概念を見事に打ち破った20万円切りのフルサイズ一眼レフがこちら。
そう!ソニーのα7。もうこれしかないでしょう。スペックを見てみましょう。
項目 | α7 |
---|---|
有効画素数 | 2430万画素 |
ISO感度 | 100〜51200 (拡張ISO50) |
AF測距点 | 117点 |
連写速度 | 2.5コマ/秒 |
シャッター速度 | 1/8000秒 |
ファインダー視野率 | 100% |
質量 | 416g |
α7はミラーレスタイプのカメラということもあり、かなり特徴的なスペックとなっています。特筆すべきは以下の3点。
- シャッター速度
- AF測距点の多さ
- 軽い
実は、今回紹介した6D, D610, D750のシャッター速度は全て1/4000秒ですが、α7は1/8000秒なので、より高速なシャッター速度を持っていますね。ただ、連写速度が2.5コマ/秒と極端に遅いので、あまり恩恵はないかもしれません。
しかし、ダントツの軽さとミラーレスを活かした測距点の多さは魅力だと言えます。外観もカッコ良くてオシャレですよね。
さて、α7にオススメのレンズですが実は選択肢があまりないのです・・・
というのも、ソニー製のカメラはCanonやNikonに比べてまだまだレンズのバリエーションが少ないという現実があります。
そんな中で予算以内に収めるレンズは、実質レンズキットになっているFE 28-70mm F3.5-5.6 OSSくらい。リーズナブルでコスパの良いレンズがシグマやタムロンから出てくれると私も一台欲しいところ・・・(嫁さんの許可が下りれば・・・汗)
4.おわりに
今回はだいぶ長文になってしまいましたが、フルサイズ一眼レフをレンズ込みで20万円以下で購入する時のオススメパターンを書いてみました。
こうしてみると各社とも特徴があるので、ご自身の描く撮影スタイルに合った組み合わせとぜひ照らし合わせてみてください。いずれにしても安い買物ではないので、納得いくカメラとレンズに出会える参考になれば幸いです。